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薙が考えた事を考えもせずにつづるところです。
シャンティと7人のセイレーンたち レビュー

とりあえず一周クリアーしたので評価していきます。

■あらすじ
魔人の母と人間の父から生まれたハーフ・ジーニーの女の子シャンティは、魔法の力と正義感、持ち前の明るさでスカットル・タウンを守ってきた。
その功績が認められたシャンティは、ミミックおじさんら仲間たちとともにハーフ・ジーニー祭の賓客として海底遺跡を観光資源とするパラダイス島に招待される。シャンティ以外にも5人のハーフ・ジーニーが招待されており、シャンティが初めて出会う自分以外のハーフ・ジーニーたちと親しくなったのも束の間、ハーフ・ジーニーたちが出演する前夜祭の舞台上でシャンティ以外のハーフ・ジーニーが突如として姿を消してしまう事件が発生。なぜか1人無事だったシャンティは仲間の反対を押し切って1人で事件の解決に乗り出すのだった。

■概要
海外で大人気を博し、日本受けしやすいかわいらしいデザインから日本での評価も急増しているアクションゲームシリーズの5作目。
シリーズを通して、「長い髪をしならせて叩く攻撃と、ベリーダンスによって変身する魔法を駆使して進めること」と「ゲームを進めることで使えるアクションが増えるとともに行ける場所も増えていくという謎解き要素を軸にしたいわゆる『メトロイドヴァニア』と呼ばれる形式をとっていること」が特徴。また、住人の話を聞いてヒントを得たり、ちょっとした悩み事を聞いて報酬を得るといったRPG的な要素も存在する。今作もこれらの形式に則っている。お店で魔法を購入することで魔力を消費して飛び道具やバリアなどの魔法を使えるようになる要素も前作から引き継がれている。
100%クリアやスピードランなど周回クリアを前提としたデザインになっているため一周クリアにかかるボリュームは控え目になっている。

■今作の特徴

●ベリーダンスを踊ることで変身する、というのが本シリーズの特徴だったが、今作では2種類の変身方法がある。

・まず、捕らわれているハーフジーニーを助けることで『フュージョンコイン』を貰うことができ、変身能力を獲得する。この変身能力は「空中でZLボタンを押す」など、ベリーダンスを経ることなく特定の操作で瞬時に使用可能。多くの場合、着地すると自動的に変身が解除される。これらは全て魔力を消費しない。

・獲得できるフュージョンコインの一覧

・ダッシュイモリ
 空中ダッシュをしたり、壁に張り付いて登るといったアクションができる。ダッシュ中は無敵で攻撃判定もある。この無敵移動を上手く扱えるかどうかで攻略の速度や難易度が大きく変化する。ダンスなしで変身できる本作を象徴する要素。

・アナホリ貝
 柔らかい土を掘り進むことができる。進行方向には一応攻撃判定があるが、基本的には移動専用。

・ボッカン亀
 空中で使用すると急降下。地上で使用すると高速回転しながら体当たりする。どちらも硬い岩を破壊できる。地面に埋まったアイテムを叩き出すことも可能。なお、急降下する際、亀にも関わらず腹から落ちて岩盤を破壊している。町人の説明によると哺乳類らしい。

・海ガエル
 水中を泳ぐことができる。泳ぐ速度を変える以外にできることはないが、舞台が島という性質上、水に潜る機会は多い。町人の説明によると爬虫類らしい。

・ジェットタコ
 タコスミを噴射して、3段ジャンプまで可能となる。

・もちろんベリーダンスも健在。救出したハーフ・ジーニーに「フュージョン石」を渡すと、自分が使える変身魔法をシャンティに託してくれる。こちらの魔法は「ベリーダンスを経て、画面全体に効果を及ぼす」という強力なものになっている。使用すると大きなイラストが表示されるなど演出も派手。これらは全て魔力を消費するが、消費量はさほど多くない。

・獲得できるダンスの一覧

・スキャンダンス
 青い肌のミステリアスな魔人に変身し、隠し通路や足場、隠しアイテムなどを明らかにする。隠し部屋は場所を知っていてもスキャンしないと入れない。また、隠し部屋がある場所は壁の色が違うなどといった目印は基本的にないので、基本的には怪しい場所をしらみつぶしにスキャンしていくことになる(しいて言えば、不自然に開けたスペースや、厚い壁、ティンカーバットが穴を掘っている場所などに多い)。

・リフレッシュダンス
 ドリアード(樹木の精霊)のような風貌に変身する。前作では体力を回復するダンスというチートじみた性能だったが、今作は加えて「周囲に活力を与える」という能力を得た。具体的には、枯れ草に花を咲かせたり、病気や毒を治したり、アンデッド系のモンスターを生き返らせて即死(?)させるといった効果を発揮する。

・スパークダンス
 電気ナマズの魚人に変身し、画面全体に電流を流す。敵にダメージを与えるとともに、機械の電源や電球を点けることができる。

・クエイクダンス
 炎の翼が生えた女戦士に変身し、巨大なハンマーで地震を起こす。敵にダメージを与えるとともに、地面や天井に埋まったものを掘り起こしたり、場所によっては地形をも変えることができる。これだけの振動にも関わらず街中で使用しても誰も気にしない

・これらの仕様変更により、本作では「変身した姿のまま動き回る」ということが基本的に不可能になっている。

●モンスターカード

・敵を倒すと低確率でモンスターカードをドロップする。これらを規定数収集すると、「しゃがみ歩きが素早くなる」「穴に落ちてもダメージを受けない」「ジェムが出やすくなる」などの多種多様な強化を3種類まで選んで設定することができる。

・一部のボスキャラなどのモンスターカードは、NPCとの物々交換で入手できる。

・モンスターカードのドロップは運によるためコンプリートするには敵を狙って狩る必要があるが、モンスターカードはゲームの達成率には影響しないためスピードクリアに影響することはない。

■評価点

●魅力的なキャラクターや明るく楽しい作風は健在。
モブキャラも含めてどのキャラクターもキャラが立っており、印象に残りやすい。シャンティの仲間たちや宿敵リスキィ・ブーツはもちろん、メタ発言のオンパレードなスクイッド・バロンなどシリーズの人気キャラも登場する。

●ゲームを盛り上げるアニメーションムービー
特に日本のアニメ会社が手掛けたオープニングムービーは非常に良く動きクオリティが高い。
ボス戦やエンディングなど作中で入るショートムービーは海外のアニメ会社が担当しており、ややコマ数が少ないものの作画は問題なく十分な出来。

●ベリーダンスを経ずに変身できるようになったため、アクション性が大幅に向上した。
敵の攻撃をダッシュイモリの無敵ダッシュで回避したり、誤って穴に落ちてしまいそうになったら瞬時にタコに変身して空中ジャンプするといった動作が可能になった。さらには「タコで空中ジャンプをして、そのまま空中でイモリに変身して空中ダッシュ」といった連続変身アクションも可能。
また、このことは間接的に前作の「ダンスが増えすぎたため、ベリーダンスしながら2ページ目を待たなければならない」といった操作の改善にも繋がった。

■賛否両論点

●前作のキャラたちはやや影が薄くなっている。
シャンティと共に島にやってきたミミック、スカイ、ボロの3人はいずれも事件の解決に消極的で思い思いにバカンスを楽しんでいるため、基本的にシャンティには協力してくれず活躍に乏しい。ミミックおじさんに至っては作中のほとんどの時期で行先不明なのでイベント以外では顔を見せない。アモ・バロンや彼の部下は不在(代わりに彼の弟が登場)、スクイッド・バロンは登場するが戦闘はしない、など過去シリーズのキャラのファンにとっては物足りない内容。
また、キャラではないがシリーズお馴染みの変身である子ザルはダッシュイモリに置き換わってしまった。オープニングムービーでシャンティが真っ先に子ザルに変身するうえ、仲間たちも派手な戦闘アクションを見せてくれるため若干オープニング詐欺ぎみ。
代わりに初登場となったハーフ・ジーニーたちやアモ・バロンの弟アーマー・バロンなど新キャラクターはいずれも魅力的であり、今後の活躍も期待できる。マンネリを防ぐ意味でも既存キャラばかり推してはいられない事情も考えると妥当ともいえる。
なお、宿敵リスキィ・ブーツの暗躍は健在。本作では複数回にわたり交戦する。ロッティ・トップスも意外な(?)活躍を見せる。

●シャンティの代名詞である変身やベリーダンスもやや影が薄くなった。
本作ではベリーダンスをせずに動物に変身でき、アクションが終わると即座に変身が解けるようになった。
ベリーダンスからは画面全体に効果を及ぼす変身を繰り出せるが、こちらも瞬時に効果を発揮してすぐ元の姿に戻ってしまうため、変身した状態のシャンティが見られる時間は短い。とはいえ、この仕様変更によりアクション性が大幅に向上しテンポが良くなったのも事実。

●獣人になるダンスがない。
ベリーダンスを経ない変身は全て完全な動物型であり、アラクネ(クモ女)やハーピー、人魚といった獣人・亜人型の変身は無くなった。ベリーダンスは人型に近いものが多いが一枚絵のみ。
とはいえ動物型・人型ともに相変わらずかわいらしく描かれているのはさすがシャンティといったところ。

●背景が2Dに戻った。
前作は背景に3Dが用いられており、円形にループするステージを駆けながら戦うといったダイナミックな演出もあったが、本作は完全に2Dマップになっている。面クリア型だった前作とは異なり広大なマップを探索する方式に転換したためと考えられる。

●難易度は控え目。
回復アイテムがかなり潤沢に出るうえ、安価で死亡回避アイテム(ライフが0になると全回復)を9つまで購入できるため、全体的な難易度は低い。場合によっては、まじめに戦闘せず被ダメージ覚悟で突き進んだ方が簡単かつ安全かつ速かったりする(特に最終ステージでは避けさせる気のない猛攻撃が待っている)。
とはいえシャンティ自体がハードなゲーム性を有したシリーズではなく、キャラクターの人気を推したライトユーザー向けの調整と考えると妥当なところか。
一応、クリア後は魔力増加と引き換えに防御力が低下するモードが解禁されるが、難易度の高さを実感できるのはライフが少なく魔法も弱い序盤だけで、シミターを習得し最大ライフを増やしたころには打たれ弱さはあまり感じなくなっていく。

■問題点

●ロードがやや長い。
マップはいくつかのエリアに分かれており、エリアを跨ぐ際にロードを挟むがこのロード時間がやや長め。

●ショップ購入の魔法のバランスは良くない。
前作に引き続き、ファイアボール・スーパーボール・ブーメランといった攻撃魔法はダメージが低く魔力を消費してまで使うほどの性能ではない。どうしても遠距離攻撃が必要ならミサイルが辛うじて使える程度。
一方、周囲に攻撃判定を纏うシミターと完全に無敵になるインビジブルは非常に強力。シミターはHPの低い雑魚を一撃で倒したり、ボス戦での火力アップに繋げたりと高い汎用性が売り。あるモンスターカードを使うとダメージが倍になり、小型の敵のほとんどを轢き殺すように突き進める。さすがにインビジブルは消費魔力が非常に大きいが、マジックポーションをがぶ飲みする使い方であればそれなりの時間を無敵でいられる。特に最終ダンジョンは敵の攻撃が激しくシミター以上に有用。

●やり込み要素は少なめ。
前作に比べゲームモードは少ない(全クリア後に追加されるマジカルモードのみ)。
また、コンセプトアートといったオマケイラストも大幅に減少している。
尤も前作はDLCを全て同梱した内容だったため、本作にも今後DLCが追加されるのであれば改善されていく可能性はある。

■総評
これまでのシャンティの魅力を十二分に受け継いだ良作。
シャンティ以外のハーフ・ジーニーたちやアモ・バロンの弟など再登場にも期待が高まる新キャラクター、ベリーダンスを経ず瞬時に変身できる新要素によるアクション性の向上、アニメーションムービーなど本作独自の魅力も光る。
しかし本作の評価点の多くは「シャンティシリーズの魅力」によるところが大きく、順当に正統進化はしているものの「本作独自の魅力」という点ではやや地味であり、良くも悪くも「名作の続編」といった印象に留まる。特に主人公シャンティをはじめとした一部のグラフィックは前作を流用しているためそう感じやすい。とはいえ名作シリーズであっても続編で大きく評価を落としてしまったり、モデルチェンジによりシリーズファンから不評を受けるゲームも少なくないため、前作に劣らないクオリティのゲームを遊べるということだけでもファンにとって嬉しいところである。
シリーズ初見にお勧めする作品としては前作「ハーフ・ジーニーヒーロー」に一歩劣るが、そちらをプレーしてみて気に入るようならぜひこちらもプレーしてもらいたい。
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