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薙が考えた事を考えもせずにつづるところです。
ただひたすらに怖かった夢(十條サービスセンターの怪異)

薙は十條サービスセンター…”と呼ばれる商業施設”にいた。
実際の内装は十條サービスセンターではない…なかったと思う。
階数が多くて延べ面積が広く、雰囲気としては丸井今井の方が
近かった気がする。なお、どちらもすでに潰れた大型商業施設
である。が、薙にとって最も身近な「潰れたデパート」が十條
サービスセンターだったので舞台”名”として取り入れられたの
かもしれないが、とにかく大型商業施設に家族と一緒にいた。
夢の中では、まだ(一応)閉店していなかったが、少なくとも
活気も人気(ひとけ)もなかった。

その十條サービスセンターで買い物をしているうち、少しずつ
心霊現象のようなものが現れ始めた。始めは違和感のようなもの
だった。遠くに立っている、何をするでもなくただ身動きせず
吹き抜けから下の階を見下ろし続ける女性。背後から大人数の
雑踏のような声や音が近づいてきて、振り向くと誰もおらず、
音がぴたりとやむ。鏡に不自然なほど多くの手垢がついている…
など。おかしいな、とか、気のせいかな、とか思う程度だった。

その合間に、30~40センチほどもある靴を父が見せてきて、
これを通勤か外行きのどちらかに使えと言ってきて、
「その両方に使えばいいのでは?なぜどちらかなのか」
と尋ねたが要領を得なかったというシーンが挿入されたが
この後に起きる事態に比べると些事である。

心霊現象は、やがて少しずつ大胆になっていった。
階段の踊り場から階段の上と下を見ると、どちらにも全く同じ
姿をした人物が立っている。トイレで用を足して手洗いをして
いると、背後からその手を掴むように長い腕が伸びてくる。
遠くに立っているだけだった女性が何かを喋りながらビデオの
早回しのような動きで一直線に向かってきて、薙の体に触れる
と同時に消滅する。

薙は家族と一緒にテーブルを囲んで座りながら、妹に
「どうでもいいけどここは心霊現象が多すぎじゃないか」
と話していた。
妹はそれに同意していたので心霊現象自体は確かに起きている
ことらしいが、薙ほど深刻には受け止めていないようだった。

その時、またやつらがやってきた。
椅子に座る薙の背後から”伸びて”くる髪の長い女の顔。
次の瞬間、そいつは前に見たようなビデオの早回しの動きで、
薙に襲い掛かってきた。それまでとは違い、腕に直接触れられる
感覚があった。口からは20センチ近くもある長い舌が出ていて、
人間ができるとは思えない速度で頭を振り回していた。
反射的に「憑り付く」つもりなのだ、と判断した。
薙は肺の空気を全て吐き出す勢いで叫んだ。
「うわあああああああああああああああ!!!!!
 ア"----------------!!!!!」
「ヴァーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「ヴァーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「ヴァーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「ヴァーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」





薙がようやく意識を取り戻した時、薙は
椅子に座った体勢で硬直したまま床に転がり、叫び続けていた。
意識はあったが叫んでいた。
子供の頃、号泣している自分を客観的に見られるほど
落ち着きつつあるのに泣くのをやめられなかった時のように。

ぼやける視界に、薙を見下ろす祖父(現実には他界しているが
夢の中では存命)の顔が映った。ピンセットのようなものを
持って薙に近づけている。薙はなんとなく怖くなって、声を
あげて抵抗したが、顔についた髪の毛か何か、ゴミのような
ものをピンセットで摘んで取り除かれただけだった。そういう
ことがあって薙はようやく落ち着いた。

それから…おわり。

「何かに追いかけられる夢」や「何かを追いかけようとする夢」は
よく見る。いずれも多くは身体が思い通りに動かないというもので、
そういう夢を多く見る理由というのは判明している(夢占いだとか
現実で抱えている悩みやストレスが影響しているだとかではなく、
ちゃんとした原因が分かっている)。それらの夢も怖くはあるの
だがそちらは何というか、思い通りに動けないもどかしさの方を
強く感じることが多い。今回のように、純粋に恐怖だけを与えて
くるような夢は久々に見て、こんな時間に目が覚めた(執筆開始
時点で午前4時前)。
うなされていた可能性もあるかもしれない。
年甲斐もなく、冷蔵庫にコーラを飲みに行くのに恐怖を感じた。
頭が痛い。
寝よう。
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